本書の情報:大野晋『日本語練習帳』(1999.1 岩波書店)
1999年の本とかなり前の新書ですが、学生・社会人のために大野氏の日本語研究から語る日本語トレーニングの手順が書かれています。
- 相手にaと伝えたいときに、aとしか取れないような形を表現することを心掛ける。
- 言葉は自然には通じず、相手に理解できるように努力をして表現する。
- 相手の意図をきちんと理解できるように努力して読む・聞く。
この『日本語練習帳』の目的は、そのような表現方法と努力をどのように具体化するかを書いた本です。
本書の内容を一つ、助詞の「ハ」と「ガ」の違いを2章で丁寧に解説されていましたので、ここで軽く紹介します。
まず、「ハ」は直前の言葉を孤立させて文末と結びます。
明確で読みやすい文章を書くなら「AはB」の関係が分かりやすい文が良いです。
すなわち、「ハ」とそれが結ぶ先の距離をできるだけ短くすることです。
「ガ」は直前の名詞と下の名詞を結ぶ、新発見と驚きを表す現象文(ガの下に名詞が来ずに動詞で終わる文。例:鳥が来た)をつくります。
「日本は広い」と「日本が広い」では、ニュアンスが全く異なりますよね。本書を読むことで、「ハ」と「ガ」の違いが明確に分かるようになります。
これ以外には、
- 文章を読む・書くで一番大事なことは「何を」読み取り、「何を」書くか
- 文章を書く技法は無限の奥深さで終わりはない
- 単語に敏感になる
といった日本語上達のための著書からの覚えておきたいメッセージに加えて、敬語の基本についても扱っています。
日本語を上手くなりたいと思っている方にオススメの新書です。
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