本書の情報:
ピエール バイヤール (著), 大浦 康介 (翻訳)『読んでいない本について堂々と語る方法』(2016.10 筑摩書房)
- 読んだことのない本について語るのは可能。むしろ読まないほうか良いくらい。
- 的確にある本について語るなら、読んでいたほうが困る
と、いきなり私たちの常識を覆す内容から始まります。これはどういうことなのでしょうか。
この本はフランスで刊行されベストセラーとなり、世界各国で翻訳されています。
読書家なら誰しもがタイトルに目を引かれることでしょう。
本書を読むことで
読書・教養とは何なのか?
について重要な知見を得られることができました。
今回はこの面白そうな本について紹介していきます。
未読の諸段階について
ぜんぜん読んだことのない本
この世界には膨大な書籍が存在 → いくら読んでもきりがない
無数の本を前にしては読書家であろうとなかろうと皆同じという考えが湧いていきます。
ある本を読む = 別の本を読まない
読むことと読まないことは表裏一体という宿命を受け入れなければなりません。
莫大な本があることを考えると、
1・俯瞰的な視点を取る
2・1冊1冊の本を読んでいく
の2択です。後者に終わりはありません。すなわち、選択肢1を目指すことが良いでしょう。
ここで、教養とは網羅性を目指すことです。網羅性をとるなら、読書家は個々の本と本との繋がりに着目し、個別の考えに囚われないようにする必要があります。
また教養があるとは、全体の中で自分がどこにいるかを把握できることです。すなわち、個々の本が全体を形成し、対象の本が他の本との関係で位置づけることができる力を持っていることです。
本の内容でなく、その本の位置関係を分かっていれば良いと説いています。
これを踏まえて、3通りのタイプに人を分けますと、
本と本との位置関係という本質を掴むために読書をしない
読んだ本の内容は理解できるが、読める本はごく一部ですので、本と本との位置関係という本質を掴めない
読書をしない人は読書家より賢明ということになるのです。
流し読み
上記のような読書をしない人は滅多にいません。ほとんどの人は1冊の本の全てを読まず、だいたいで読むことが多い。そのような流し読みは本を理解するためには一番効果的なのかも
流し読みは2通り 線的 最初から読み始めて、途中を流して最後まで読む 円的 本の中を自由に行き来して読んてきく
人から聞いたことがある本
本の内容を正確に知る方法として他人が本について書いたものを読んだり、聞いたりする方法は賢明な方法です。
ユーチューブの本を紹介する動画を視聴するというのもそれに当てはまるでしょう。これは時間の節約になります。
自分が読まなくても人から聞くのはむしろ良い可能性もあるのです。
読んだことはあるが忘れてしまった本
本を読むことは同時に読んだことを忘れてしまうという避けられない運命を背負うことになります。読んだ本の内容は時と共に忘れてしまい、その本について振り返った時、自分の今の状況に左右していしまいます。
忘却は人間に付き物です。 読書によって不確かで一時的にした覚えていない知識した得ることができないのは避けられません。最悪その本を読んだことがあるか忘れてしまう場合もあります。
回避する方法として本の感想を書くと後日見返した時に本の内容を思い出せます。
しかし、どんなに読んだ本を覚えていたとしても、その記憶はその本の断片でしかないのです。
教養について
教養とは、書物を<共有図書館>のなかに位置づける能力であると同時に、個々の書物の内部で自己の位置を知る能力である。
ピエール バイヤール (著), 大浦 康介 (翻訳)『読んでいない本について堂々と語る方法』P66
これが出来るのであれば、実際に本を手にする必要はないのです。
読んでいない本について堂々と語る方法
読んでいない本について堂々と語るシチュエーションは一般人に起こらないので、簡単に紹介します。
となります。詳しくは本書を読んでもらえればと思います。
読書は人を豊かにする +人格の二重化を起こす可能性がある
良い読書家は様々な書物を横断すること
書物を通して自分自身について語ることが重要
ということを印しておきます。