本書の情報:
中野 剛志
『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(2019.4 ベストセラーズ)
『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(2019.7 ベストセラーズ)
本書はタイトルにあるよう、本当に「奇跡」を起こす経済教室の可能性がある、と強く感じました。それぐらい、本書の内容は私達の社会通念を覆すものでした。常識的に正しいと感じていたことが、実は根も葉もないことばかりだったと気付かされたからです。加えて、丁寧に論じられていきますので、経済学に疎い人でも大丈夫です。
では、本書の魅了を紹介します。
【基礎知識編】
特に、デフレとインフレの概要を知ることで、失われた20年の原因が全てが分かった時に感動と驚きを是非体感して欲しいです。その他にも以下のような驚きの数々です。
- 失われた20年は政策のミス??
- 銀行は預金を集めて貸し出すは正しい?
- 仮想通貨は本当に社会を変える力が本当にある?
- 財政赤字は悪、は勘違い?
- 消費税増税は全く意味がない??
上記の理屈を知るための鍵となる「貨幣とは何か」でした。
貨幣は「負債」の一種という信用貨幣論を知り、貨幣を正しく理解すれば経済の見方が180度変わります。信用貨幣論から貨幣は貸し出しにより創造され、返済によって消滅するものだと分かります。
- 財政支出拡大(上限はハイパーインフレになるとOUT)によ日本の経済成長を妨げているデフレを脱却
- 自国通貨建ての国債はデフォルトになることはない 国債を返すために国債を発行すれば良い
- 財政赤字はそれと同額の民間貯蓄を生む
- 税は財源確保の手段ではない
という衝撃事実の根拠はスムーズに理解できます。
正しい主張をした人が追放されて、誤った主張を元に行動した人の責任は追及されない日本の闇も見ることができます。また権力者が下の人間の主張に全く耳を傾けず、誤った方向へ舵を取るという人間的な闇も目の当たりできます。
【戦略編】
戦略編では基礎知識編で学んだ内容を活かして、事実を検証していきます。その分難易度は上がります。必ず基礎知識編を読んでからにしましょう。
日本はデフレで苦しんでいた中、それを蜜としていた自分の利益のために規制を変える活動を行う「レントシーカー」の恐ろしさが一番インパクトありました。この事実以外にも、
- 財政健全化が少子化の原因?
- 賃上げを防ぐために移民政策を推している経営者や投資家 損をするのは一般市民
- 財政健全化論は害悪
- 主流派経済学(財政健全化を良しとする)vsMMT(自国通貨を持つ政府は債務不履行にならないので財政赤字拡大は問題ない)について
とこちらも見どころ満載で、まさに全国民が知るべき内容でした。
『奇跡の経済教室』シリーズは衝撃的な暴露本と捉えても過言ではないでしょう。
私が今まで読んできた本の中でも、内容の良さは上位に君臨するオススメの本です。