本書の情報:田口 勇 『数字の嘘を見抜く本~カモにされないための数字リテラシー~ 』(2020.7 彩図社)
世の中は人生を狂わせる数字で溢れている
インパクトのある言葉です。ですが、これは事実です。
数字の嘘を見抜く力を養わなければ、カモにされてしまうと筆者は書いています。
著者は厚生労働省で情報分析をしていたキャリア官僚で、読者に「数字リテラシー」に興味を持って欲しい、嘘に惑わされないよう、という思いから本書が誕生しました。
読んでいて興味深い事例が多く、私は世の中の数字に騙されていたのだと気づき、数字を見る目を付けることができました。数字リテラシー入門書として最適な1冊です。
あなたの数字リテラシーは?
突然ですが、
と考えていますか?
答えは≠
もし「=」と捉えていた場合、早急に数字リテラシーを付けるべく本書を読みましょう。
高齢化社会の日本は年々高齢者が増加してるので、必然的に事故の数は増えてしまいます。高齢ドライバーという母数が上昇しているという事実を鑑みることができたら、数字リテラシーは高めと言えるでしょう。
正確に真実を知るためには「10万人当りの〇〇数」と、「数」ではなく「起こりやすさ」に目を向けることが大切なのです。
ちょっと待った!の例
高すぎ低すぎといった極端な数字、突如として増減した数字にも注意が必要です。
その例として、近年いじめの件数が急激に増加しました。理由はいじめの定義が変わったことでそれと呼べる事案の対象が拡大したことなどです。
一日に水を2リットル飲もう・一日分の野菜を使用した野菜ジュースもデータからバッサリ斬っています。後者については、一日に食べるべき野菜の350グラムには科学的根拠はないのです。
その他の具体例として、
- 喜びの声続出 → 不満を持った人の声が隠されている
- 効果2倍! → 個人差が大きい 0.001から0.002のような小さな数からの2倍かも
- 降水確率0%の日は雨が降らない → 1mm以上の雨が降る確率が0%
- 世帯あたりの貯蓄平均約1700万円 → 少数の富裕層が平均値を押し上げている
- 満足度91.7%の商品 → アンケート回答者が少数だから
と本書では多数の身近な例が紹介されています。
今一度この数字はどのように導出したのだろうか?と裏を見ることで、安直な決断・思い込みを防ぐことができます。
数字リテラシーは非常に大切です。少しでもそれを養いたいと思った方は分かりやすい本書をオススメします。